厚生労働省の「医療等分野における番号制度の活用等に関する研究会」(会長=金子郁容・慶大政策・メディア研究科教授)は、今年5月から開催し7回の議論を経て中間まとめとして、論点を整理し公表しました。(2014.12.10.)
尚、年内にもう1回研究会を開催し、番号法の施行状況やオンライン資格確認の検討状況などを報告する予定のようです。
<中間まとめ概要>
1.医療等分野での番号(電磁的符号を含む)による情報連携のあり方
- 医療等分野の個人情報は、患者と医療・介護従事者が信頼関係に基づき共有しており、病歴や服薬の履歴、健診の結果など、第三者には知られたくない情報がある。利用について本人同意を得るとともに、患者個人の特定や目的外で使用されないよう、機微性に配慮した個人情報保護の措置を講じる必要がある。
- 医療等分野の情報連携のあり方については、以下のような意見があった。
- 本人の同意のもとで希望する患者が番号を持つ仕組みとし、共有する病歴の範囲について患者の選択を認め、患者が共有して欲しくない病歴は共有させない仕組みを検討する必要がある。
- 患者に必要なサービスを提供する際の同意のあり方など、本人同意やプライバシールールのあり方の検討が必要。
2.番号制度のインフラとの関係
- 番号法では、目的規定(第1条)で、行政機関等が行政運営の効率化等のためマイナンバーを用いるとしており、医療機関等でマイナンバーを用いることは想定していない。他方、行政機関や保険者はマイナンバーと紐づけて資格情報等を管理するので、安全で効率的な情報連携を行うため、行政機関や保険者ではマイナンバーを用いる必要がある。
- 医療等分野で用いる番号(電磁的符号を含む)は、重複しない番号を交付するため、住民票コード又はマイナンバーから変換する方法等により生成し、利用を希望する者が使う仕組みとする必要がある。
- マイナンバーとは別に「見える番号」を発行するのはコストがかかる。「見えない番号(電磁的な符号)」のほうが、安全性を確保しつつ二重投資を避ける観点から、望ましい。
3.医療等分野の情報連携の具体的な利用場面等
医療等分野での番号による情報連携が想定される6つの利用場面
- 「医療機関・介護事業者等の連携」や「健康・医療の研究分野」等で、医療等分野での番号(電磁的符号を含む)を用いた情報連携の仕組みが必要。行政機関と保険者は資格情報等をマイナンバーで管理するので、「保険者間の資格異動時の健診データの連携」と「予防接種歴の自治体間の連携」で、これらの情報の連携にマイナンバーを用いることを検討。
- 医療保険のオンライン資格確認は、既存のインフラも活用しつつ、資格情報とマイナンバーを紐づける番号制度のインフラを活用し、できるだけコストがかからない安全で効率的な仕組みについて、保険者・保険医療機関等の関係者との協議を通じて検討する。個人番号カードを用いる場合、ICチップをカードリーダーで読み取る、表面のみが見えるカードケースの利用など、マイナンバーが視認されない仕組みを検討する。
- 医療等分野の情報連携に用いる番号のあり方については、オンライン資格確認で実現されるインフラの活用を含め、個人情報保護を含めた安全性と効率性・利便性の両面が確保された仕組みを検討する。
医療機関と保険者との間に「資格確認サービス機関」(仮称)を介在させ、医療機関の窓口で扱う「医療等分野での番号」と保険者が資格情報を管理する「マイナンバー」との照合を計画している。