厚生労働省は、社会保障審議会・介護保険部会で、2013年8月から介護保険法等の見直しに向けた検討を開始し、ようやく第54回社会保障審議会介護保険部会(2013.12.20)で、介護保険制度改革に向けた意見をとりまとめに至った。
主な見直し項目は以下の通りです。
1.地域包括ケアシステムの構築に向けた地域支援事業の見直し
『地域支援事業』の構成要素の一つである「包括的支援事業」に「在宅医療・介護連携の推進に係る事業」「認知症施策」「地域ケア会議の実施」「生活支援サービスを行う事業主体間のネットワーク構築など」を追加するほか、介護予防事業や地域包括支援センターの機能強化などを行う方向が提示された。
2.地域支援事業の見直しに併せた予防給付の見直し
前述に見直しに伴い、要支援者に対する生活支援サービスを充実させる必要があり、このために、全国一律の基準で運営される予防給付のうち、訪問介護・通所介護を、地域の独自性を発揮し柔軟に運営できる地域支援事業に組替え、市町村総合事業に移管するとともに、市町村による円滑な実施のために、事業内容を『ガイドライン』(厚労省が別途作成)として示す。
3.在宅サービスの見直し
在宅介護サービスについて、事業者間の連携・人材の柔軟な配置・介護事業者による生活支援サービスの推進を図れるような方向に見直す。(「定期巡回・随時対応サービスと訪問看護との連携」「訪問看護職員の確保推進策の展開」「小規模多機能型の機能強化」「小規模な通所介護の地域密着型サービスへの移行」などが提言されている。)
4.施設サービス等の見直し
施設サービスのうち特養ホームの入所者を要介護3以上に限定する。(尚、既入所者については、現在、要介護1・2である場合のほか、将来、要介護1・2に改善した場合であっても入所可能とする」などの経過措置や特例をおく。また、特養ホーム入所者の限定にあわせて、サービス付き高齢者向け住宅について「住所地特例」の対象とする必要があると提言されている。)
5.介護人材の確保
「 国は、介護報酬改定を通じた処遇改善の取組の推進、キャリアパス制度の確立に向けた取組の推進」「都道府県は、介護保険事業支援計画を活用しつつ、人材確保に向けた様々な取組の推進」「 市町村は、単身高齢者などが増加する中、必要性が高まる生活支援サービスの担い手を育成・確保するとともに研修を実施すること」などを中心に取り組むことが重要であると提言されている。
6.介護サービス情報公表制度の見直し
「地域包括ケアシステム構築の観点から考えると、高齢者が住み慣れた地域での生活を継続するために有益な情報である地域包括支援センターと配食や見守り等の生活支援の情報については、現在の公表制度では情報を入手できないことから、これらの情報についても、既に全国に定着している本公表制度を活用し、介護サービスの情報と一体的に集約した上で、広く情報発信していくことが適当である。」「今後、介護人材の確保が重要となる中、各事業所における雇用管理の取組を推進することが重要であり、現行の従業者等に関する情報公表の仕組みについて、円滑に事業所が情報を公表できるよう見直しを行う必要がある。」―など。
7.費用負担の見直し
費用負担について、「1号保険料をよりきめ細かく設定し、低所得者への軽減を強化する。」「一定以上所得者の利用者負担を2割とする。」「補足給付の判断において資産等も勘案する。」―など。(尚、「本人と配偶者の貯蓄等の合計額が一定額(単身1000万円超、夫婦2000万円超)を上回る場合には、補足給付の対象外とする。」など)
8.2025 年を見据えた介護保険事業計画の策定
第6期(平成27年度~29年度)以降の介護保険事業計画を「地域包括ケア計画」として位置づけ、地域包括ケアシステム構築を本格化する。
今後は、年明けの平成26年通常国会の法案提出に向け、厚労省当局で介護保険法等改正案を策定する作業に入るそうです。
以上、詳しくは第54回社会保障審議会介護保険部会・資料をご覧ください。